がくうそうでんせん

架空送電線の話

The Overhead Power Transmission Line
タワーラインソリューション
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ブラジルの送電線 Brazil

On this page, I displayed photographs of power transmission lines in Brazil which my close friend (he lives in Brazil) took. Representative power transmission lines in Brazil are included in this page.

サンパウロ市内の高速道路用吊り橋(説明は目次下に掲載)

ブラジルは、地球上で日本のちょうど反対側にあり、一番遠いことと、観光ツアーは各種のコースがあるが、送電線の撮影が可能な地点を経由するツアーなど無いことなどから、ブラジルの送電線について、知りたい希望は強かったが、後回しになっていた。
しかし、私の大学の親友が若くしてサンパウロに移住し、電気通信関係の会社を立ち上げ活躍しており、つい最近までは誠に忙しく働いていたが、彼の子どもさん達がサンパウロの超一流大学を優秀な成績で卒業して、それぞれ独立したのを機に会社を収束させて少しゆっくりしたとのことなので、さっそく送電線撮影を頼んだ。

彼は、私からの依頼を快く受けてくれて、この度、サンパウロから西方140kmほど離れた場所などにおいて、世界第2位高電圧の直流送電線およびブラジルで最高電圧の交流送電線などを、現地に何回も足を運んで撮影してくれた。
また、サンパウロ市内の送電線についても現場を何回も往復して撮影してくれた。
これらの写真は観光ツアーでは絶対に撮れないもので、私および本サイトを訪問されている方々にとっては誠に貴重な映像であり、彼と撮影に協力してくれたご家族の皆さんに心から感謝するものである。

さて、ブラジルの電気事業者は、連邦電力公社・エレトロブラス(Eletrobras)社、州営事業者、民間事業者の3つに大別できる。
ブラジルで最大の電力需要地、サンパウロ州およびリオデジャネイロ州では、民間事業者が発電及び配電部門を、また州営事業者もしくは連邦電力公社・エレトロブラス(Eletrobras)社の傘下の会社が送電部門を運営している。
そのほかの地域では、連邦電力公社または州営事業者が発送配電一貫体制を取っているところもある。
連邦電力公社・エレトロブラス(Eletrobras)社は国内送電線の60%を所有しているブラジル最大の電力事業者であり、基幹系統を構成する230KV、345KV、440KV、500KV、750KVおよび直流(DC)世界第2位の高電圧+/-600KVの送電線等の大半を所有運営しているようだ。

ブラジルの国土は広大で、面積は850k㎡、日本の22.5倍の広さであるが、その広い国土を500KV基幹系統が背骨のように南北に連系しており、そこから東西の主要都市にやはり500KV系統で連系していて、全国を500KV系統が担いグリッド状に結んでいる。
交流(AC)750KVおよび直流(DC)+/-600KVは、パラグアイ国境を流れるパラナー川に、ブラジルとパラグアイが共同で建設したイタイプ水力発電所(1,260万KW、1991年全出力完成)の出力のほとんどを、約850km離れたサンパウロに送電するため特に建設されたもので、AC750KVは1回線装柱・3ルート計3回線、DC+/-600KVは双極1回線(2相)・2ルート計2回線の、合計5ルート5回線が建設されている。

今回写真撮影をしてもらった送電線は、連邦電力公社・エレトロブラス(Eletrobras)社の傘下の会社 (FURNAS) が運営しているサンパウロ近傍の送電線であるが、上記のブラジル交流最高電圧の750KVおよび直流世界第2位高電圧+/-600KVの送電線が含まれており、ブラジルの誇る送電技術を紹介できる極めて中身の濃い内容である。

以下に解説と共にその写真を掲載する。

サンパウロ市内の近代的高速道路用吊り橋の解説

上記の写真は、ブラジルでも有数の近代的構築物である。
サンパウロ市中心から10kmほど南西の所にある高速道路用の吊り橋(Octavio Frias de Oliveira Bridge)であり、東京で言えば、さしずめ「レインボーブリッジ」に相当するものであろう。
これは、最新の建築技術を適用してピニェイロス(Pinheiros)川に架けたもので、Y字形曲線を描く2段構造の高速道路を1本の巨大な鉄筋コンクリート柱と鋼鉄の吊りケーブルで支えているもので、高度な設計及び施工技術によって建設されたものである。

なお、川の左側に市内を南北に経過するローカル送電線が写っているが、吊り橋の付近では白い鋼管単柱支持物を適用して、吊り橋の近代的景観と調和させるよう、環境調和構造物としている。
この送電線については、「6.ローカル送電線」の項で解説する。

さて、このピニェイロス(Pinheiros)川については大変興味深い事実があるので紹介する。
サンパウロは地図で見る通り、南米大陸の東側に位置し、大西洋からはほんの60km足らずの場所にある。
したがって、市内を流れる河川は、東へ流れればすぐに大西洋に流れでるのだが、海岸から20kmほどの所に海岸線に沿って「海岸山脈(Serra do Mar)」が走っており、この山脈に阻まれて大西洋には流れ出ることができない。

このピニェイロス(Pinheiros)川は、その「海岸山脈(Serra do Mar)」を源流域とし、大西洋と反対側の北西方向(内陸側)に流れ、約500km行った先で南米大陸を北から南へ流れる大河パラナー川に合流し、本項で以下に紹介するイタイプ水力発電所ダムを経て、世界3大瀑布の一つとして有名なイグアス滝を擁するイグアス川を合流し、さらに南へ南へと源流域から約3,000kmを旅してアルゼンチンのブエノス・アイレス付近でラプラタ川に合流し大西洋に流れ出ている悠久の大河の一つの支流である。

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