I traveled in England and Scotland in 2008. I displayed photographs of the British power transmission lines which I took during the trip on this page. On this page, British various power transmission lines are displayed.
さて、イギリスは、面積は我が国の約2/3倍、人口は約6千万人で我が国の半分であり、人口密度は我が国に比べ低い。
また、地勢はなだらかな平地が多く農耕等に利用可能な土地面積は我が国に比較して遙かに多い。
したがって、都会を少し離れるとすぐに農耕・牧畜地帯で、都市と都市間が我が国のように住宅地で繋がっているということはなく、送電線のルート選定の自由度は大きい。
しかし、イギリスでは、ドイツ、フランスで採用している線下面積が大きなドナウ型または水平配列型鉄塔とは異なり、我が国と同じ電線配列方式、かなわち送電線占用面積を極力少なくする2回線垂直配列の鉄塔を用いている。
送電線の電圧は、400KV、275KV、132KV、33KVであるが、古い設備では66KV、22KVも残っている。
イギリスでは、1930年代に132KV系統が完成し、次に1950年代に275KV系統が完成し、さらに1970年代に400KV系統が完成した。
なお、400KVの導入に当たっては730KV、1050KV、DC400KVなどが検討されたそうだが、400KVであれば既設275KVの鉄塔設備をほぼ利用できる利点があるので、昇圧・流用可能な区間については、新規ルートの建設をしないで済むため経済的に有利であり、400KVを選定したそうである。
イギリスの送電線用電線種類は、極めて数少なく標準化されていて、132KVから400KVまでの電線、架空地線は次の3種類に定められている。
なお、イギリスの発・送・変電設備は、1990年まで国有中央発電局(CEGB)が独占してきたが、民営化により、イングランドとウエールズ地域は、発電3社と送電1社(NGC社:ナショナルグリッド社)に分割された。
現在、NGC社は、400KVおよび275KVを運用しており、132KV以下の送電線は配電会社が運用している。
一方、スコットランドは、南部をスコティッシュパワー社(SP社)と、北部をスコティッシュハイドロエレクトリック社(SHE社)の2社で、400KV、275KV、132KVを運用している。
1.400KV4導体4 bundle conductor
イギリスでは、400KVのうち、4導体送電線を「Heavy duty :大容量設備」、2導体送電線を「Light duty :小容量設備」と呼んでいる。
400KV送電線路が2ルート並走している箇所の写真である。
スコットランド・エジンバラの西北約30kmの地点で撮影したものである。
よく見ると、線下に建造物があり、我が国と異なりイギリスでは許容されているようだ。
冒頭に述べた通り、イギリスでは、ドイツ、フランスで採用している線下面積が広いドナウ型または水平配列型鉄塔とは異なり、我が国と同じ電線配列方式、すなわち送電線占用面積を極力少なくする2回線垂直配列の鉄塔を用いている。
イギリスで最も多く見られる、標準的形状の送電線路の懸垂鉄塔である。
鉄塔の結構は、一般に下アーム位置を境に上部がダブルワーレントラス、下部はKトラスを採用している。
また、柱体のテーパーは下アーム箇所でベンド点を設け、更に3節下部で再度テーパーを大きくしている。
イギリスでは、襲雷頻度が低いのでほとんどの送電線は架空地線は1条で、遮蔽角は約35度である。
電線配置はオフセットを設けて、スリートジャンプ対策をしており、最もアーム幅が広い中アームで、その長さ(線間間隔)は20mである。
電線は、ACSR425m㎡,4導体で、素導体間隔は30.48cm(12inch)である。
電線付属品は、微風振動防止対策としてイギリスではほぼ全ての送電線にストックブリッジダンパが使用されている。
懸垂クランプは、ドイツ、フランスなどと同様、極めて簡素な形状で、アーマーロッドなどは使用していない。
がいしは、イギリスでは磁器がいしとガラスがいしの両方が常用されており、右写真は全景もクローズアップも両方ともガラスがいしである。
ガラスの色は、イギリス、ピルキントン社製のがいしは透明色である。一方、フランス製は緑色をしている。
がいしは、懸垂箇所では、深ひだ型のFog Typeで強度は 42,000ポンド(約19tf)、笠径14inch(356mm)、一連24個連結、一方、耐張箇所は、普通ひだの強度 42,000ポンド(約19tf)、笠径13inch(330mm)、一連22個、が標準的仕様として用いられている。
400KV4導体用鉄塔について考察すると下記の通りである。
標準的懸垂鉄塔の質量は21.5tであり、我が国の500KV鉄塔に比較して半分程度の質量である。
これは、イギリスでは台風がなく、設計風圧荷重が小さいことと、電線地上高が低いことによるためであろう。
すなわち、一般箇所での電線最低地上高は、8mとしているので、我が国の500KV・ACSR410m㎡送電線路のそれが20m以上を確保しているのに比較して、電圧の違いはあるものの、かなり低い値である。
このため、鉄塔高さは50mで、我が国の500KV鉄塔に比較して20%程低い。
また、設計標準径間長は1,200ft(365.8m)である。
右写真は、左右回線で異なる仕様のがいしが使われている箇所のものである。
手前側の回線は、磁器がいし(茶色)で、強度 42,000ポンド(19tf)、笠径14inch(356mm)、のものが一連22個連結され、2連装置で使用されている。
一連個数は、標準の24個よりも2個少ないが、ルート経過地域の汚染レベルに応じて増減変化をさせているのであろう。
それに対し、向こう側の回線は、17個連結で、しかも単連装置である。
仕様の詳細は不明だが、高強度かつ耐圧特性も一段と高性能のがいしを使用しているのであろう。
右写真は、400KV4導体送電線の標準的耐張(角度用)鉄塔である。
がいし装置は、二つ下のクローズアップ写真で示すが、4連耐張装置を使用し、その4連は正方形配列となっている。
写真のがいしは、ガラスがいしである。
懸垂鉄塔のところで述べた通り、一般的な強度42,000ポンド(約19tf)のがいしの場合、懸垂箇所は一連24個連結だが、耐張箇所は一連22個連結として使用している。
塔体のテーパー(転び)は、ベンド点を中アーム、下アーム、更に2節下方の3箇所に設けて、懸垂鉄塔に比較して、テーパーを大きく取り、根開きを大きくしている。
見るからに安定感のある鉄塔形状である。
結構は、懸垂鉄塔と同様で、下アームを境に、その上部はダブルワーレン、下部をKトラスとしている。
右写真は、重角度鉄塔である。
写真で分かる通り、偏心アームを採用し、水平角度の外側のアームを長く伸ばし、逆に、内側のアームを短くして、ジャンパ線が塔体から等距離に位置するようにアーム長さを決めている。
したがって、架空地線の位置については、遮蔽角を確保するため外アームが長くなった分だけ軽角度鉄塔より高くする必要があり、写真のように天に向かって飛び出ている。
また、基礎に加わる垂直荷重を低減するため根開きを極めて大きくしている。
ドッシリとしていて誠に安定感のある形状だ。
耐張がいし装置のクローズアップ写真である。
我が国の電線・碍子装置の設計思想では、多導体電線または多連がいし装置に万一異常があった場合には、異常が発生した方の設備のみに影響範囲を止めるようにしている。
例えば、電線素線1条が断線しても、がいし装置には影響が及ばないよう、また、がいし連が1連破断しても、電線には影響を与えないよう設計をしている。
このため、がいし装置の先端に、お互いの衝撃を伝えないようバランスヨークなどの緩衝装置を設けるのが一般的である。
しかし、写真の耐張がいし装置はシンプルで、4導体の電線と、がいし各連とが直結している。
もし、がいしまたは電線のどちらかに異常が発生すれば、その相は両方とも被害を被るのもやむを得ない(許容する)設計のようだ。
ジャンパ線は、4導体の配置が接近し導体束が細くなっているが、コロナ対策上問題ないようだ。
手前の回線は、一般的な4連正方形配列の耐張がいし装置であるが、向こう(奥)側の回線は、2連がいし装置が使用されている。
2連がいし装置には、ガラスがいしが使われているが、一連個数は4連装置と同様の22個連である。
耐張鉄塔は数多く見たが、2連耐張装置が使用されているのはこの鉄塔だけであった。
多分、標準品より高強度のがいしが使用されているのであろう。
4導体スペーサは、ボックス型とX型の2種類が使用されているが、同一の線路で左右回線の型式が異なるスペーサが用いられているのは、めずらしい。
右写真は、写真の左手方向(写真外)にある変電所への線路引き込み鉄塔(引留鉄塔)につながる直前の鉄塔写真である。
左に写っているのが引留鉄塔の1基手前の鉄塔で、右が2基手前の鉄塔である。
両鉄塔間には、狹線間にせざるを得ない状況があるようで、短径間になっている。
上の写真の左側鉄塔をクローズアップした写真である。
右側径間が狹線間のため、向こう(奥)側回線は、塔体から左に伸びたアームに引留され、正規のアームにジャンパ線で縁回しされている。
特殊なジャンパ線が使用されており、おもしろいので、掲載した。
線路は、写真の左手方向(写真外)の変電所引き込み鉄塔(引留鉄塔:下に掲載)に短径間で繋がっている。
右写真は、変電所引き込み鉄塔(引留鉄塔)を撮影したものであり、短径間で上の写真の鉄塔と繋がっている。
変電所鉄構は、極めて簡素である。
変電所引き下げ線は見にくいが、垂直に引き下げられ、アレスター頂部に引き下ろされている。
我が国では、見られない変電所引き込みの様子が写っているので掲載した。
2.400KV2導体2 bundle conductor
イギリスでは、1950年代に275KV系統を建設しているが、その時点で、将来、400KVに昇圧可能な設計にしている送電線が多いようで、現在400KV運転をしている送電線の約半数が昇圧送電線であるようだ。
すなわち、「Light duty :小容量設備」と呼ばれている、400KV 2導体送電線は、オフセットのある鉄塔線路とオフセットのない線路に大きく区分されるが、後者のオフセットのない線路は、既設275KV線路を400KVに改修・昇圧したものであるようだ。
イギリスの典型的な風景で、なだらかな丘陵地帯に牧場・農地が点在している。
その中に、のどかに送電線がルートをとっている。
標準的なオフセットのある2導体送電線である。
この形状の送電線は、当初から400KV設計として建設されたものであろう。
Heavy duty 400KV4導体送電線が、線幅(中アーム幅)20mであるのに対して、Light duty 400KV2導体では、線幅はやや狭く、約17mであり、垂直間隔も8%ほど短くなっている。
さらに、がいし一連個数も標準的にHeavy duty 400KV4導体が、懸垂:24個、耐張:22個、であるのに対し、Light duty 400KV2導体では、懸垂:22個、耐張:21個、と1~2個少なくなっている。
ただ、クリアランスは同一であるようだ。
また、がいしの種類は、同一の線路でも左右回線で磁器がいしとガラスがいしを使い分け・併用しているものが多く見られた。
右写真も、右回線は磁器・スモッグがいしで一連22個連結、左回線はガラスがいし一連24個連結であり、ガラスがいしの方が2個ほど連結数が多い。
鉄塔形状は、上部はダブルワーレンに対して、下部1/3から下の結構が急に変化し、Kトラスおよびブライヒ結構になっているのが特徴である。
耐張がいし装置使用の角度鉄塔も、懸垂鉄塔と同様に、上部はダブルワーレンを使用し、下部はブライヒ結構を使用している。
がいし装置は、2導体電線を2連装置で引き留めている。
上に掲げた懸垂鉄塔も、右写真の耐張鉄塔も、4導体送電線に比較して塔体がかなり細く設計されている。
上に掲げた、懸垂、耐張鉄塔の塔体の細い形状のものが多い中で、右写真のように Heavy duty の4導体と同様の太い形状の鉄塔も見受けられた。
太い塔体形状の耐張鉄塔である。
Light duty としては、この太い塔体形状の鉄塔は、少なかった。
イギリスでは、スカッと晴れる日が少なく、いつも曇りか、小雨が降っていたが、右写真も雨の中で撮ったので、バスのガラス窓に雨粒があって見づらいがご容赦いただきたい。
右写真は、オフセット無し(Non offset or All offset)の送電線である。
この形状の送電線は、275KVとして運転していたものを、改修・昇圧して400KVとして運用している線路である。
当初、275KV線路として建設した時点で、将来、400KVに昇圧可能なように設計されていたようだ。
この鉄塔を適用した線路では、線幅(最も長い下アーム幅)が13mであり、Heavy duty の4導体線路の線幅20mに対して65%しかなく、かなり狭い。
がいしの一連個数は、懸垂箇所:19個、耐張箇所:18個を標準としており、Heavy duty の4導体に比較して4~5個少ない。
鉄塔高さもHeavy duty の4導体に対して約20%ほど低い。
しかし、クリアランスは同一であるようだ。
右写真は、上に掲げた懸垂鉄塔と同様、オフセット無し(Non offset or All offset)の送電線で、耐張がいし装置の角度鉄塔である。
この形状の送電線は、275KVとして運転していたものを、改修・昇圧して400KVとして運用している線路である。
Light duty 400KV2導体では、この形状の275KV昇圧鉄塔線路が圧倒的に多かった。
耐張がいし装置のクローズアップ写真である。
がいし装置は至って簡素で、我が国のようにがいし先端に設置したプレートを用いて左右素線の張力をいったんそのプレートに集約して引き留めることはせず、素線の張力は独立して鉄塔まで到達するようになっている。
我が国の場合には、片方の素線が断線しても、がいし先端に左右素線にまたがるプレートがあるため、がいしにはその影響は及ばないが、イギリスでは断線した方の電線につながるがいしは直接その影響を受け、破損に至ることとなろう。
ただ、その頻度が希であることで、割り切っているのであろう。
この設計方針は、イギリスにとどまらず、欧米ではほとんどが採用しているようだ。
引き留めクランプは圧縮型で、微風振動対策のダンパはストックブリッジダンパが使用されている。
写真のがいしは、磁器製スモッグがいしである。
なお、がいし連アース側に扇形の弛度調整金物が付いている。
旅行中に見た限りでは、ジャンパ線はほとんど全てが電線を用いた手作りジャンパ線であったが、一箇所だけ重角度箇所で、アルミパイプを用いたと思われるジャンパを見かけた。
3.275KV
1950年代に275KV系統を全土に完成させたが、その時点で、将来、400KVに昇圧可能な設計にしている送電線が多いようで、その後400KV系統の拡充に伴い多くの線路が400KVに昇圧され、現在275KVとして運用している線路はすくなく、逆に400KV系統の約半数が昇圧送電線であるようだ。
したがって、275KV送電線は、イングランド、ウェールズ地域では、ロンドン周辺、並びにマンチェスターおよびリバプール等の工業都市周辺に限られ、基幹系統としての役割は全面的に400KV系統が担っている。
一方、スコットランドでは、まだ、275KV送電線が基幹系統の役割を担っており、400KVはグラスゴー近辺に止まっているようだ。
旅行中に撮った写真で、275KV運用のものは少なかった。
また、400KV昇圧線路と、275KV運用線路の区別が難しく、がいし一連個数の違いで分かるものの、ちょっと見た目では、どちらなのか判断に迷うものが多かった。
右写真は、275KVの懸垂鉄塔の典型的なもので、電線は配列はオフセット無しである。
イギリスの鉄塔は、下アームの下方3~5節目にベンド点を設け、そこを境に、結構を上部はダブルワーレン、下部をKトラスまたはブライヒ結構にしているのが、一般的である。
275KV送電線は、全て2導体方式を採用しており、電線は2種類の太さのものを使用している。
すなわち、ACSR425m㎡のものをHeavy duty 、ACSR180m㎡のものを Light duty と呼んでいる。
右写真は、標準的な耐張鉄塔である。
水平角度が大きく、大きな角度荷重が鉄塔に加わるので、中アーム箇所からKトラス構造にしている。
275KV送電線は、旅行中に見た限りではほとんどオフセット無しの電線配列であったが、右写真のようにオフセットが付いているものもあった。
見るからに、アーム幅も広く、がいし一連個数を増せば、400KVに昇圧可能な構造であることが分かる。
変電所への、引き出し、引き込み鉄塔は、何処も右写真のように、角アームで、電線取り付け点が自由に選択できる構造になっていた。
4.132KV
冒頭に掲げたように、132KV線路については、イングランドとウエールズ地域では配電会社が管理・運用しているが、スコットランドでは南北2社の送電会社が管理・運用している。
132KV線路も、電線太さにより、「Heavy duty :大容量設備」 、と「Light duty :小容量設備」 の2種類に区分されており、前者はACSR180m㎡、後者はACSR72.5m㎡の電線を用いている。
標準的な装柱の懸垂鉄塔である。
132KV線路は、1930年代に建設されたものが多いので、鉄塔構造も現在とは異なり、懸垂鉄塔は主柱材に曲げ加工をしない(ベンド点を設けない)構造となっている。
使用がいしは、磁器がいしおよびガラスがいし共に用いられ、一連個数は9~11である。
アークホーンは、右写真のように、ない線路もあるが、ほとんどは設置されている。
また、微風振動対策のダンパは、他の電圧階級と同じで、ストックブリッジダンパが使用されている。
標準的耐張鉄塔写真である。
耐張箇所の鉄塔は、中アーム取り付け点をベンド点として、主柱材の転び(テーパー)を付けている。
引留クランプは圧縮型を使用している。
イギリスでは、襲雷頻度がが低いのでほとんどの送電線は架空地線は1条であるが、132KV線路では所々で右写真のような架空地線2条の線路が見られた。
なかなか、厳めしい装柱である。
132KV線路でありながら、2導体方式を採用している送電線もあった。
この写真は、マンチェスターの北で撮ったものであり、最近建設された送電線のようである。
見た目で、2導体の素線間隔は、超高圧線路のもの(30.5cm)よりはやや狭いように思われる。
上と同じく、2導体送電線であるが、ロンドンの西方で撮影したもので、ごく最近建設されたもののようだ。
鉄塔構造、がいし装置、ジャンパ線など、275KV線路と同じ作りで、がいし一連個数を増加させれば275KV線路として運転できそうな送電線である。
1回線三角配列の線路であり、所々で見ることが出来た。
めずらしく、鉄柱を使用した線路であり、リバプールの南チェスターの郊外で撮ったものだが、鉄柱線路はこれ以外には見られなかった。
なかなかいかめしい形の鉄塔で、アーム主材が上方に曲げ加工されているめずらしい鉄塔である。
この写真はマンチェスターの郊外で撮ったものだが、使用がいしが特殊なものであり、掲載した。
このがいしは、アメリカLocke社製スモッグがいし(茶色)と思われ、今から約70年前の、1930年代に生産されていたもの、と思われる。
現在では、このようながいしは生産されていないので、ずいぶん旧い設備であろう。
これが、現役で稼働しているのは、驚きである。
旧い設備を、大切に保守・運用しているのがよく分かる。
この送電線にも極めてめずらしいがいしが使用されている。
向こう側の回線は、20~30KV線路と思われ通常のガラスがいしだが、手前側の回線が132KV線路で特殊がいしを使用した送電線である。
撮影場所は、スコットランド最北の都市インバネスから50kmほど南の地点である。
この送電線に使用された特殊がいしは、下のクローズアップ写真で見て貰いたいが、この送電線はおそらく1910年代に建設されたものであろう。
この使用がいしは、ヒューレット型懸垂がいしで、1907年に懸垂がいしとして初めて開発され、1910年代に世界的に広く使用されたものであり、我が国では、日本ガイシ博物館および東電の電気の史料館に数個が展示されているだけの、極めてめずらしいがいしである。
約100年前の古いがいしが、現役で稼働しているのは、驚きであり、上にも述べたが旧い設備を、大切に保守・運用しているのがよく分かる。
ヒューレット懸垂がいしのクローズアップ写真である。
左は東電の電気の史料館で見ることが出来るもので、右の写真がスコットランドで現在稼働中の現役がいしである。
アークホーンもなかなか古風で、耐張クランプはボルト締め方式、ジャンパ線の中間で電線を接続している箇所もボルト締めで、圧縮型が開発される以前の古い設備である。
とにかく、約100年前の設備がいまだに現役で立派に稼働しているのは驚きである。
5.66KV以下Local power transmission lines equal to or less than 66kV
般的な鉄塔以外の支持物を適用している送電線を掲載する。
何れも、イギリスでは配電会社が管理運営している。
オックスフォードの西、コッツォルズ地方で撮ったものである。
アームはアングルで、2本の柱はコンクリート柱であろう。
いまだに、ピンがいしを使用しているのは、めずらしい。
スコットランド北西の、スカイ島で撮ったものである。
直線・懸垂箇所は、コンクリート柱に、2個連の長幹がいしを使用した、見るからに経済的な装柱の1回線線路である。
上と同一の線路であるが、写真で分かるように、海岸に添ってルートが設定されているので、がいし選定には塩害対策を十分配慮した設計になっていると思われる。
上と同一の線路であるが、角度箇所の耐張がいし装置支持物である。
懸垂がいしの一連個数は8個で、66KVとしては塩害対策のため一般箇所に比べ2個ほど多く連結されていると思われる。
支線にも懸垂がいしが使用されているのは、めずらしい。
イングランド、マンチェスター北東郊外で撮ったものである。
上に掲載のスカイ島で見たものと、同様の設備であるが、塩害を考慮する必要のない地域であるため、長幹がいしは各相1本である。
スコットランド、グラスゴーの北方山岳地帯で撮ったものである。
我が国と同様のすずらん装柱である。
電圧は、33KVであろう。
上と同一の線路であり、耐張箇所の写真である。
スコットランド、エジンバラの北方郊外で撮ったものである。
33KV送電線の地中ケーブル引き下げ鉄塔である。