吊金工法は、電線またはワイヤロープを支持線として、右図のような「吊金装置」を30m程度の間隔で径間内に展開・配置し、支持線が延線する電線を支えることで、延線張力の変動があっても横過物件に接触することなく延線・撤去工事が行える工法である。
支持線は、通常既設電線、新設電線、ワイヤロープが利用され、細径電線では高張力繊維ロープが使用されることもある。
使用される吊金車は、1輪金車、2輪金車、3輪金車の3種類があり、それぞれ必要に応じて使い分けがなされている。
吊金工法および搬送工法 Stringing method of construction using suspension-block
In this file, a method of construction to hang block to the electric wire or steel wires with equal distance is explained.
The electric wire or steel wires which was already hanged overhead wires are used there.
In this block (suspension-block), a pulley is attached to the top and bottom ends each.
The pulley of the upper end is ridden on electric wire or steel wires which was already extended.
New stringing electric wire is put on the pulley of the bottom end.
As for the new electric wire, stringing is possible with the low tension.
In this method of construction, the stringing electric wire does not drop on the ground.
The safety facilities (scaffolding) of the assumption that an electric wire does drop on the ground are construction disuse.
Therefore, this method of construction is economical.
最近は、昭和30~50年代の高度成長期に建設された送電線の改良・修繕工事が各所で行われているが、それら送電線周辺では建設当時に比べ開発が進んで住宅地や道路・配電線などが送電線ルートの周辺に切れ目無く設置されて、電線延線工事に伴う防護設備の設置用地確保が難しいケースが多くなっている。
そのため、電線延線時に防護設備を必要としない工法が開発され、近年全国的に多く採用されている。
その代表的な工法としては「吊金工法」および「搬送工法」があるが、以下に、その2つの工法について解説する。
CONTENTS
1.吊金工法
上述のように、使用される吊金車は、1輪金車、2輪金車、3輪金車の3種類があり、それぞれのその一例を写真に示す。
写真では、「左写真」が片側に錘を付けた1輪金車で、反転の際には必ず錘側に回転するようにしているもの。「中央」が2輪金車。「右写真」が3輪金車で、プレハブ方式の圧縮引留クランプなど長いロッド状のものをスムースに通過させたい時に使用する。
1条吊金工法
本工法の概略手順は以下の通りである。
- 自走機により支持線にパイロットロープを張り渡す作業が最初であるが、右図のようにパイロットロープの垂れ込みを少なくするため適切な間隔で吊金車をセットする。
- 次に、そのパイロットロープ端に曳行ロープと電線延線用メッセンジャロープを連結する。
- パイロットロープを巻き取り、右図のように約30m間隔で吊金装置を径間内に展開する。
- この時、「曳行ロープ止め金具」で「吊金車コード」を曳行ロープに約30m間隔で固定する。
- 曳行ロープは、電線延線中に吊金装置が動かないように鉄塔に固定する。
- 次に、メッセンジャロープを延線ワイヤに引き替える。
- 電線の延線は、通常の延線と同じようにドラム場にて延線ロープに電線を連結し、エンジン場にてワイヤを巻いて延線する。
電線を利用した地線の張替工事例法
経年の送電線では、架空地線をOPGW化するため、または劣化による新線張り替えのため、架空地線の張替工事が多く見られるが、この時には片回線停止させた上相電線を支持線として使用する吊金工法が多く見られる。
まず、「1条吊金工法」と同様にパイロットロープを用いて、旧地線と支持電線間に吊金装置を約30m間隔で展開する。
各鉄塔で旧地線をクランプから外し金車に載せ替えると同時に、エンジン場とドラム場を連結ワイヤで結ぶ。
次に、ドラム場でワイヤを繰り出し旧地線の張力を緩める。
そうすると、旧地線と支持電線の位置関係が逆転し、支持電線に旧地線が吊られる形になる。
このとき、吊金車の反転が発生する。
吊金車の反転の概念図を右図に示す。
この時、径間内で電線が絡まないように注意する必要がある。
吊金車の反転の概念図では、旧地線と支持電線および曳行ロープが一直線の状態で回転するように示したが、実際には回転の途中では右写真のようになる。写真は、2輪金車を使用している。
この後に、旧地線に新地線を接続し延線し、再び正規の張力に新地線を張り上げるが、この時に吊金車は再反転する。
新地線を張り上げた後に仮止めし、曳行ロープを手繰り寄せて吊金車を回収する。
最後に、新地線の緊線を行い工事を終了させる。
全相吊金工法
次に、全相用吊金車延線手順について解説する。
まず、自走機により支持線にパイロットロープを張り渡す作業が最初であるが、「1条吊金工法」と同様にパイロットロープの垂れ込みを少なくするため適切な間隔で吊金車をセットする。
次に、そのパイロットロープ端に曳行ロープ2条と各電線延線用メッセンジャロープ(繊維ロープ)を連結し、右図のように約30m間隔で吊金装置を径間内に展開する。
次に、各相とも電線延線に当たってはメッセンジャロープを延線ワイヤに引き替える。
延線手順は通常の延線と同様に上・中・下線の順に延線していく。
曳行ロープは、支持電線と上相間にも設けることもあり、逆に中相・下相間に設けないなど、工事現場の状況に応じて変化形が色々ある。
右写真は、154kV 4回線送電線で、下回線の左側回線を全相用吊金車延線工法で延線しているところである。
写真では分かりづらいが、上相と中相は既にプレハブ緊線完了し、下線を延線中の状態である。
この写真の径間には道路が交差しているが、防護足場無しで延線工事を施工している。
吊金車のクローズアップ写真であるが、上相と中相は既にプレハブ緊線完了しており、吊金車コードは支持線~上相電線~中相電線の間は張力がかからずたるんだ状態になっている。
下線が延線状態であるため、中相電線下相電線間の金車コードのみがぴんと張られて、中相電線が下相電線の支持線の役割を担っている。
上写真と同様、吊金車のクローズアップ写真であるが、電線送りだし鉄塔に近い吊金車を撮影したもので、下相電線を中相アーム付け根から繰り出ししている関係で、中相~下相間の吊金車コードもたるんでいる。
全ての金車には2輪金車が使用されている。
下相電線が緊線完了すれば、吊金車の回収工程に入るが、その手順は、
- 電線に金車回収時の曳行ロープ垂れ込み防止用の制動機をセット、
- その制動機に曳行ロープを連結、
- 反対側の鉄塔で曳行ロープを巻いて吊金車を回収する。
以上に解説したオーソドックスな吊金車工法の他に、特殊金車を用いた吊金工法があり、
- 4面にローラを有する「十字金車」を用いた「十字形吊金工法」
- 電線反転が容易に出来るよう開発した「X形吊金工法」
- 吊金車の内面が多ローラ形の円形金車を用いた「環状形吊金工法」
などがあるが、更に特殊工法のため解説は省略する。
2.搬送工法
吊金工法の類似工法として搬送工法がある。
この工法は吊金工法と同様に支持線を利用するので延線時に横過物を防護する防護設備を必要としない工法である。
この工法は、搬器で延線する電線を支え、その搬器を繊維ロープで連結し、それを牽引することで電線を延線するもので、最大の特徴は延線する電線に張力を加えないことであり、OPGWや劣化電線の延線に適しており、多く用いられている。
この工法は、「反転式索道工法」とも呼ばれる。
搬送工法の概念図を図に示す。
吊金工法では、ドラム場とエンジン場間に延線されたワイヤに電線を連結してエンジンで引くため、延線する電線に張力がかかる。
しかし、搬送工法では図のように連結ロープをエンジンで巻き取るため搬器と電線が一体となって動くので電線に直接張力をかけずに延線することができる。
したがって、過張力や撚回の心配が無く、OPGWの延線に最も適したものである。
本工法の概略手順は以下の通りである。
- 吊金工法と同様に、自走機によりパイロットロープを支持線(地線の張替の場合は既設地線)に吊金車を一定の間隔で吊って、延線する。
- そのパイロットロープに連結ロープを接続し、各径間に「風車形搬器」を展開する。
- ドラム場で連結ロープに先導搬器をセットし、「先導搬器」に新設地線(OPGW)を接続する。
- 上図のように新設地線(OPGW)を延線する。
- 新設地線(OPGW)の延線が完了したら、支持線(既設地線)を緩めて「風車搬器」を自動反転させる。
- 「中間支持器」は手動で電線を入れ替える。この作業で新設地線(OPGW)が支持線となる。
- 既設地線の末端に引替用ロープを連結し、制動をかけながら既設地線を引き抜き撤去する。
- 連結ロープと引替用ロープの末端に制動機を取り付けて連結ロープと引替用ロープを巻き取り、「風車搬器」を回収する。
この搬送工法のキーポイントは、「中間支持器」の中を「風車形搬器」が如何に自動的に・スムースに通過出来るか、の一点である。
「中間支持器」の内部は、支持線を支える支持器、連結ロープと新設地線(OPGW)を支えるローラーがあり、それらは支持器本体にそれぞれ金具で固定されているが、その中を「風車形搬器」が通過するにはそれらの支持金具(ロッド)を交わさなければならないので、その通過対策がこの工法のキーポイントである。
まず、「風車形搬器」の構造であるが、「支持線ブロック(水色)」、「連結ロープブロック(ピンク色)」および「新設地線ブロック(濃い空色)」の3つのパーツからなっている。
なお、「支持線ブロック」と「新設地線ブロック」は搬器製作メーカーでは「遊動金具」と称している。
「連結ロープブロック(ピンク色)」は、風車の羽根のような形をしており、各羽根の先端にローラーが付いていて、「支持線ブロック」と「新設地線ブロック」のローラー用レールの上を自由に回転できるようになっている。
「風車形搬器」が左右に横移動する場合に、もしF1およびF2の空間に、各羽根の溝に入る大きさのロッド(丸棒)が障害物として横たわっていた場合、そのロッドは羽根にぶつかるが、その羽根を押して回転させ、ほとんど無抵抗に後方にすり抜けることができる。
したがって、「中間支持器」の内部の「支持線を支える支持器」および「連結ロープ受ローラー」を支持器本体に固定する金具が、「風車形搬器」の各羽根の溝に入る大きさのロッド(丸棒)で、且つF1およびF2の位置にあれば「風車形搬器」は「中間支持器」の中を自由に移動することができるのである。
右が「風車形搬器」の写真である。
支持線ブロックには、写真撮影のためのロープを通している。
ロープが通っている水色のローラーには支持線(既設地線)を通し、風車の中心軸に連結ロープを通し(次の写真参照)、下部の白いローラーには新地線(OPGW)を通す。
手前の赤いテープは、延線時に振動などによりロック金具およびストッパーが外れて搬器が落下するのを防止するためのロック金具およびストッパー固定用マジックテープである。
右写真は、ロック金具を解除してストッパーを外し片側風車を開いた状態のものである。
風車の形をした「連結ロープブロック」の中心軸に連結ロープを固定する構造になっている。
なお、中心軸の形状を見るとテーパーが付いている。
地線緊線作業時に支持線と新設地線を反転させる時には、新設地線を張り上げると、下部の白い滑車に乗っていた新地線が上方に浮き上がり中心軸に接触するが、必ずテーパーの細い側に寄るので、径間内の搬器を同じ方向にセットすれば必ず同一方向に回転・反転し、よじれる不具合を回避できるようになっている。
右写真は、背景がごたごたして見にくいが、連結ロープをセットしたところである。
連結ロープには、手前と奥に膨らんだストッパが付いていて、ロープがすり抜けないようになっている。
このロープのことを「玉付きロープ」と呼んでいる。
電線延線の先頭に用いる風車形搬器で「先導搬器」と呼んでいる。
「新設地線ブロック」に新地線・OPGW用のローラーの代わりに錘と電線連結金具を備えたものである。
右写真は「中間支持器」である。
支持線に見立ててロープを張ったところを撮影した。
支持線の当該径間の質量を懸垂支持する「支持器」を「中間支持器」本体に固定するための支持金具(ロッド)のことを「U環」と称するが、その「U環」はちょうど風車形搬器図面のF1位置になるよう設計されている。
したがって、「風車形搬器」を抵抗なく水平移動させることができる。
なお、前面に見えるコードは電磁誘導対策用の接地線である。
また、連結ロープを懸垂支持する「連結ロープ受ローラー」を「中間支持器」本体に固定する支持金具としての「固定アーム(ロッド)」は、ちょうど風車形搬器図面のF2位置になるよう設計されている。
したがって、「風車形搬器」を抵抗なく水平移動させることができる。
下部の「ケーブル受ローラー」は、製造メーカーが名付けている名称で、そこにはOPGWあるいは新設地線などが通る。
「支持器」および「連結ロープ受ローラー」のクローズアップ写真である。
写真は、「中間支持器」の中を「風車形搬器」が右から左に移動する時のクローズアップ写真である。
「風車形搬器」は、「中間支持器」の「U環」に接触し、風車の羽根を時計回りに自由回転させながら交わして移動していく様子を撮ったものである。
続いて、「連結ロープ受ローラー固定アーム」を交わし、最後に2つ目の「U環」を交わして、「風車形搬器」は「中間支持器」を抜けていく。
すなわち、F1とF2の領域に同時に障害物があるとそれを同時に交わすことが出来ないので、時間差を設けてまずF1領域の「U環」を交わし、それを交わし終わったらF2領域の「連結ロープ受ローラー固定アーム」を交わし、さらにそれを交わし終わったら2つ目のF1領域の「U環」を交わすように設計されている。
なお、「風車形搬器」には、定格荷重が800kgfと500kgfの2種類が使用されているが、本項では後者の500kgfのものの写真を使用した。
また、「中間支持器」は、定格荷重(吊り荷重)が2,500kgfと1,500kgfの2種類が使用されているが、本項では後者の1,500kgfのものの写真を使用した。
搬送工法には以上に解説したオーソドックスな工法の他に、「非反転式索道工法」および「キャッチ金車による延線工法」などがあるが、更に特殊工法のため解説は省略する。
3.吊金工法及び搬送工法におけるロープ延線例
高度成長期時代に建設されたの高経年化送電線が次第に多くなる現在、それらの架空地線を張替する工事は全国的に各所で行われている。
この場合、当初の亜鉛鍍金鋼より線と同じ仕様の電線を架線するケースは少なく、機能強化を図るためOPGW化あるいはAC電線化することが多い。
そこで採用される工法としては前述した「吊金工法」および「搬送工法」が適用される。
すなわち、電線延線工事に伴う防護設備(電線落下防止対策足場等)の設置用地確保が難しいケースが多くなっているが、本工法は延線張力の変動があっても横過物件に接触することなく延線・撤去工事が行える工法で、防護設備が不用の工法である。
また、搬送工法の最大の特徴は、延線する電線に張力を加えないことであり、OPGWや劣化電線の延線に適しており、架空地線張替工事に最適な工法である。
以下に、66kV送電線の吊金工法および搬送工法を用いた架空地線張替工事における最初の工程となるロープ延線工法の一例を解説する。
一般には、架空地線張替工事では2回線送電線の場合、片回線停止して工事を行うことが多いが、本項では2回線全停して行う工事例を解説する。
まず、送電線の規模であるが66kV2回線、鉄塔は4回線設計で、架空地線は亜鉛鍍金鋼より線2条である。
今回、写真の奥側の架空地線をOPGWに、また、手前側をAC線にそれぞれ張り替えるものである。
今回撮影した張替工事区間は4基3径間である。
ロープ牽引自走機をクローズアップした写真である。
搬送工法用連結ロープ(玉付きナイロンロープ)と吊金工法用パイロットロープ(アラミド・ケプラーロープ)を同時に延線している。
このロープ延線はエンジン場からドラム場に向かって延線しているもので、写真では左から右方向にロープを牽引している。
右は自走機の写真である。
駆動機構は、ガソリンエンジンで発電機(100V,250W)を回し、その出力で駆動モーター(100V,90W)を回転させて電線ローラーを回転させ、自動走行させるものである。
走行速度は、約15m/minで牽引力は約35kgf、質量は約35kgである。
なお、搬送工法用連結ロープには、風車形搬器を取り付ける箇所(約30m間隔)に膨らんだストッパが付いていて、ロープがすり抜けないようになっており、このロープのことを「玉付きロープ」と呼んでいる。
OPGWを張り替える搬送工法側の玉付き連結ロープには、約30m間隔で風車形搬器を取り付ける。
一方、AC線に張り替える吊金工法側のパイロットロープには、約30m間隔で一輪吊金車を取り付ける。
OPGW側ロープ延線
次に各径間に延線されたロープを使用して新設架空地線を延線するが、現地搬入OPGWドラムの大きさ制限、などの諸条件から延線工事は3~4径間毎に行い、張替区間が長い場合は次々と尺取り虫のように行うことが多い。
まず、工事用地の的確な確保の観点から、工事区間両端の鉄塔直下にドラム場とエンジン場を設けてこの張替工事を行う。
本項で解説する区間の搬送工法は右の概念図の通りである。
右写真は鉄塔直下にドラム場を設けた鉄塔である。
今回工事は写真では左側の径間で、右側の径間は前回工事完了した区間である。(架空地線が新品なので光って見える)
写真では、まだロープ牽引自走機により連結ロープがエンジン場(画面左側)から到達していないが、到達したところでロープ延線は完了する。
OPGWを延線する搬送工法では、鉄塔直下のドラム場に設置した制動装置付きのドラム架台にOPGWをセットする。
OPGWの先端に、先導搬器に取り付ける金具を圧縮接続する。
OPGWを鉄塔頂部に垂直に延ばすにあたり、電線に過度な曲げ荷重を与えないよう電線が接触する部分の曲率半径を大きくできる特殊クローラ金車を使用している。
OPGWは、画面左側から水平に進入して、特殊クローラ金車に入り進行方向を垂直に変えて鉄塔頂部に至る。
前掲の搬送工法概念図に示したように、鉄塔直下のドラムから繰り出した連結ロープとOPGWを、鉄塔頂部において風車形搬器にセットして延線する(径間に送り出す)ため、あらかじめ必要個数分を鉄塔頂部に吊り下げている。
延線径間は、写真画面で奥側である。
右写真は、上の写真を引き伸ばし・拡大たものである。
上の写真では見にくいが、右写真のように鉄塔頂部にも特殊クローラ金車が準備されている。
さて、延線区間全体に連結ロープと風車搬器が展開・設置された状態で新設地線(OPGW)の延線を開始することになる。
以降の工程は、搬送工法の項で既に解説したように、以下の通りである。
- 新設地線(OPGW)の延線が完了したら、支持線(既設地線)を緩めて「風車搬器」を自動反転させる。
- 「中間支持器」は手動で電線を入れ替える。この作業で新設地線(OPGW)が支持線となる。
- 既設地線の末端に引替用ロープを連結し、制動をかけながら既設地線を引き抜き撤去する。
- 連結ロープと引替用ロープの末端に制動機(回収器)を取り付けて連結ロープと引替用ロープを巻き取り、「風車搬器」を回収する。
- パイロットロープが延線完了した段階で、右図のようにパイロットロープ末端に曳行ロープとメッセンジャロープを連結する。
- パイロットロープを巻き取り、約30m間隔で吊金装置を径間内に展開する。
この時、「曳行ロープ止め金具」で「吊金車コード」を曳行ロープに約30m間隔で固定する。
(次の図面参照) - 曳行ロープは、電線延線中に吊金装置が動かないように鉄塔に固定する。
- メッセンジャロープを延線ワイヤに引き替える。
なお、低張力でAC線の延線が可能な場合には、メッセンジャロープでそのまま延線するケースもある。 - AC線の延線は、通常の延線と同じようにドラム場にて延線ワイヤにAC線を連結し、エンジン場にて延線ワイヤを巻いて延線する。
- 次にAC線を張り上げると同時に支持線として使用した既設地線の張力を緩める。
そうすると、既設地線とAC線の位置関係が逆転し、AC線に既設地線が吊られる形になる。
このとき、吊金車が反転する。 - AC線を鉄塔に仮止めし、張力を緩めた既設地線を鉄塔金車に乗せ替え端末にメッセンジャロープを接続して引き抜き、既設地線を撤去する。
- 径間に残った曳行ロープとメッセンジャロープの末端に制動機(回収器)を取り付けて曳行ロープとメッセンジャロープを巻き取り吊金車を回収する。
最後に、新地線の緊線を行い工事を終了させる。
AC線側ロープ延線
ここまでがロープ延線の工程である。
写真手前架空地線が吊金工法側で、既にパイロットロープが延線されており、左径間から延線されてくる曳行ロープとメッセンジャロープが到着するのを待っている状況である。
展開を待っている吊金車が並んでいるのが見える。
奥の架空地線には、搬送工法の風車形搬器が見える。
以降の工程は、吊金工法の項で既に解説したように、以下の通りである。
最後に、新地線の緊線を行い工事を終了させる。